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科学社会学会


セッション2:事故・災害


2-1
健康リスク軽減に対する保健師の実践知の制度化―地域防災を念頭に
    板倉有紀(日本学術振興会 PD)
 
 南海トラフ地震に対する危惧の高まりのように、広域型の自然災害のリスクは、自治体のリスク管理のあり方に再考をせまるものである。東日本大震災の津波被災地では、岩手県大槌町の事例のように、地域社会における健康リスクという日常的なリスク課題に対して、公衆衛生看護の立場から働きかけてきた保健師の長年の知識が、被災後の安否確認や人口ピラミッドの再編に役立てられてきた(村嶋・鈴木・岡本2012、板倉2013)。保健師は、自治体職員でもあることから、自らが勤務する自治体が被災していなくても、災害時には被災自治体へと派遣される。保健師の知識に基づく行為は、非常時のリスク対処に対してどのように効果的であるといえるのだろうか。こうした課題意識が、保健師の業界においても高まってきている。
 そこで、本報告では、いわゆる素人や公衆ではなく、またリスク管理の専門家でもなく、行政職員であり、保健医療専門職でもあり、しばしば被災した自治体の住民でもあるという、保健師の災害対応力に注目する。ベテランの退職保健師を災害対応に向けて組織化した徳島県プラチナ保健師の事例や、神戸市における災害時の保健師の活動マニュアルの事例、実際に被災地に派遣された保健師へのインタビューをとおして、保健師の専門的知識・実践的知識が自然災害のリスク軽減と、どのように関連づけられているのかを検討する。そうすることで、自然災害に伴う、特に健康面でのリスクに対処するための多様な知識に関する社会学的研究の視点についての展望を示したい。
 村嶋幸代・鈴木るり子・岡本玲子, 2012,『大槌町 保健師による全戸家庭訪問と被災地復興―東日本大震災の健康調査から見えてきたこと』明石書店.
 板倉有紀, 2013,「東日本大震災における『支援』と『ケア』―『ニーズの多様性』と保健師職能(特集  社会問題としての東日本大震災)」『社会学年報』42: 17-29.

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