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科学社会学会

セッション5:理論・学説



5-2 ダナ・ハラウェイの「伴侶種」における科学技術観
   猪口 智広(東京大学)
 
 本発表は、ダナ・ハラウェイの「伴侶種」概念をめぐる議論を整理しつつ、そこにおける科学や技術の位置付けとその意義について検討するものである。
 『霊長類の見方』(1989)や「サイボーグ宣言」(1989)といった著作でその名を広く知られるハラウェイは、フェミニズム科学論における第一人者のひとりである。自然/文化の二元論を批判しつつ、物質性と記号作用を連関させて論を進めるハラウェイの関心は近年、犬を中心とした動物との関係に向けられている。『伴侶種宣言』(2003)や『犬と人が出会うとき』(2007)といった一連の著作の中で提示されたのが「伴侶種」概念である。
 「伴侶種」概念を用いながら直接的に論じられているのは、異種間に存在する「重要な/著しい他者性」を踏まえた上で、われわれは他の種とどのような非‐人間中心主義的な関係を結ぶことができるか、という種間関係における共生・協働の倫理である。しかしそれは、自然環境や生態系をめぐる既存の議論の射程を大きく超えるものである。
 ハラウェイは既存の動物・生命倫理との距離感を示しながら、実験における動物と人間の使用関係やバイオテクノロジーによる生命に対して、肯定的な意味を見出している。しかしそれは楽観的な科学技術の是認ではなく、科学的知見に立脚しつつ存在論や関係性の観点から世界を考察する、科学技術/社会の二元論の内破の試みである。この内破は、人と動物の共進化や相互作用の中に混淆性や親密性を見出すところにも表れている。
 本発表では、「生(bio-)」の領域がかつてないほど問題となっている現在において、いかに自らと異なった存在と関係性を築いていくのか、という問題に対する視座のひとつとして「伴侶種」が持つ意義を指摘する。

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